CASE 05 / コントロールできない要素
審査に通るか分からないのに、公開日は動かせない
PMの仕事は、不確実性を消すことではありません。不確実性を、顧客が扱える形に変換すること。「祈るしかない工程」を、意思決定の仕組みに変えた話。
状況
あなたは、あるサービスの新規公開を控えた責任者です。公開予定日まで1ヶ月を切りました。クライアントは営業上の理由(提携先への告知、キャンペーンの開始日)から、公開日を絶対に動かしたくないと明言しています。
問題はひとつ。公開には外部機関の審査を通す必要があるのですが、まだ一度も通っていないのです。指摘を受けるたびに修正して再申請していますが、審査には毎回数日かかり、次に何を指摘されるかは誰にも予測できません。
あなたの経験則は告げています——このスケジュールは、不可能な可能性が高い。
あなたなら、どうする?
この状況を、クライアントにどう伝えますか。 — 選ぶと、その選択の「ありがちな帰結」が開きます。正解当てではありません。全部読み比べてください。
— 残り 4 件の帰結が未読です —
状況・続き
判断基準日を設定して進めるなか、状況が動きます。提供する2つの経路のうち、片方は審査を通過。しかしもう片方は、依然として一度も通っていません。最初の判断基準日が、目前に迫っています。
公開日を守るか、延期するか——その前に、確認すべきことがあります。
あなたなら、どうする?
最初の判断基準日。何をしますか。 — 選ぶと、その選択の「ありがちな帰結」が開きます。正解当てではありません。全部読み比べてください。
— 残り 3 件の帰結が未読です —
実際の顛末
判断基準日の仕組みと選択肢の提示、そして枠確保の奇策の組み合わせにより、サービスは当初の期日に公開されました。
ただし、このケースの主役は奇策ではありません。奇策が実行できたのは、「リスクを明示し、判断条件を事前に合意し、選択肢を並べて顧客に決めてもらう」という下地があったからです。信頼の残高がない状態で奇策を提案すれば、それはただの博打の提案として却下されていたでしょう。
なお、この経験は以後の標準にも反映されました。外部の審査が必要な案件では、受注前のチェックリストに「審査に通らないことによる遅延の可能性について、クライアントの許容を得ているか」という項目が入っています。
このケースの教訓
- コントロール不能な工程(審査・外部承認)は、判断基準日と条件分岐に変換して顧客に手渡す。
- 「できません」でも「頑張ります」でもなく、「この条件ならこう進みます」。
- 前提(同時に揃わないと出せない?)は、延期を決める前に必ず確認する。思い込みの前提が期日を殺す。
- 奇策は、信頼の残高があって初めて提案できる。
持ち帰りチェックリスト
- 自案件の「コントロールできない工程」は洗い出されているか
- それぞれに判断基準日と、遅延時の条件分岐が事前合意されているか
- 外部の審査・承認による遅延リスクを、受注時点でクライアントと握ったか
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こうした事故は、担当者の能力ではなく「孤立」から起きます。
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